最近、「経理DX」や「バックオフィスのデジタル化」という言葉を耳にする機会が増えていますが、「うちみたいな中小企業には関係ない」と感じていませんか?
実は、経理DXは大企業よりも中小企業にこそ必要な取り組みです。経理のやり方を見直すことで、会社全体の効率や経営判断のスピードが大きく変わります。
この記事では、「経理DXとは何か?」「なぜ今、中小企業にとって必要なのか?」を経理担当者や経営者の方に向けてわかりやすく解説します。
♦️経理DXとは何か?|単なるIT導入ではない
DXの定義
DXとは、単なる業務効率化やITツールの導入ではありません。本来の意味は、「デジタルの力を使って、ビジネスのやり方を根本から変えること」です。
つまり、紙やExcelでやっていた仕事をそのままデジタルに置き換えるだけではDXと言えません。
経理DXも同様で「経理業務のやり方そのものを見直す」ことがポイントです。
経理DXは「紙からデジタルへ」だけではない
「経理DX」と聞くと、「紙をやめてクラウドにすること?」と思うかもしれません。
確かにそれも一歩ですが、本質の変化は以下のようになります。
・業務の見える化(誰がいつ何をしているのか)
・自動化(手作業をツールに置き換え)
・リアルタイム化(経理データをすぐに確認できる)
さらに、バラバラだった会計・経費・請求などの情報がクラウド上でつながることにより、業務全般の流れもスムーズになります。
♦️なぜ中小企業にこそ経理DXが必要なのか?
紙・Excel中心では限界がきている
中小企業では、紙の帳票やExcelに頼った経理がまだまだ多く見られます。これには大きな課題があります。
・人手不足で業務が回らない
・担当者がやめたら、引き継ぎが困難
・テレワークやペーパーレスに対応できない
→このままでは、時代の変化に取り残されてしまいます。
数字に基づいた経営判断が求められている
今、企業に求められているのは感覚に頼らず、数字で経営判断をすることです。
・月次決算の早期化
・KPI管理(重要指標の見える化)
・予算と実績の差異分析(予実分析)
こうしたことを実現するには、リアルタイムに経理データを使える環境が欠かせません。
DXを進めていないと、数字が出るのが遅く経営の動きも鈍くなってしまいます。
♦️経理DXのメリット|中小企業が得られる3つの効果
業務の効率化とスピードアップ
・レシートの自動読み取り
・クラウド経費精算
・自動仕訳
など、日々の面倒な作業を自動化できます。これにより、経理担当者の時間が大きく浮き、ミスも減ります。
属人化の解消と情報の共有
・分かりやすい操作画面
・権限管理
・承認フローの明確化
といった機能により「その人にしかできない」状態を防ぎます。複数人での分担や、リモートワークにも対応しやすくなります。
経営の”感覚判断”から”数値判断”へ
経理DXを進めると、会計データがリアルタイムで見えるようになります。
これにより、「勘」に頼らず”数字に基づいた経営判断”が可能になります。
♦️経営DXは何から始めればいい?
まずは現状把握(業務棚卸と課題の可視化)
いきなりツール導入するのではなく、まずは自社の現状を整理しましょう。
・経理の業務フローを書き出す
・二重入力、紙作業を洗い出す
・無駄や属人化している部分を明確にする
これが、DXの第一歩です。
ツール選定は”今の課題”に直結するものから
課題がみえたら、その課題に合ったツールを選びましょう。
例えば…
・仕訳が手間→自動記帳ツール
・経費精算が面倒→経費精算ツール
・社内の承認が頻雑→ワークフローシステム
・請求書の発行が大変→請求書作成ツール
どこから取り組むべきかわからない場合は、シリーズ記事をご覧ください。
♦️まとめ|経理DXは「経理のため」だけではなく「会社の成長」のため
経理DXは、単に便利なツールを入れるだけの話ではありません。
”会社の本質を変える「経営改革」”でもあります。
中小企業にとってこそ、少人数でも効率よく、正確に経営できる仕組みが必要です。
経理DXを通じて、経理担当者の働きやすさだけではなく、会社全体の判断スピードと成長力を引き上げていきましょう。
📌第2回では、どのツールを使えばいいか?主要なクラウド会計ソフトへの違いや選び方を、具体的に紹介していきます!