「レシート、あとで出します!」
”そのあとで”が積み重なって、経理担当者を悩ませていませんか?経理処理をスムーズに進めるには、日々の書類回収と保管のルールづくりがカギです。
本記事では、領収書・請求書・レシートの違いや保存義務、電子帳簿保存法の基本を整理し、紙でも電子でも対応できる仕組みづくりの参考にしてください。
♦️領収書・請求書・レシートの違いと保存ルール
それぞれの書類の役割と定義を整理 | |||
---|---|---|---|
書類 | 定義 | 主な用途 | 特徴 |
領収書 | 支払を証明する書類。通常は宛名がある。 | 経費精算・会計処理 | 印紙が必要な場合もあり |
請求書 | 商品・サービスの代金を請求する書類 | 支払処理・経費計上 | 発行日・支払期限など記載必須 |
レシート | 支払後に発行される簡易的な証明書 | 少額経費の精算 | 宛名がない場合が多いが証憑として有効 |
💡ポイント
証拠書類としての効力は、金額や支払先、取引内容が明確であれば、レシートでも認められます。
保存期間と要件(法人税法・消費税法・電子帳簿保存法) | |||
---|---|---|---|
書類の種類 | 紙での保存要件 | 保存期間 | 電子保存の可否 |
領収書・レシート | 取引年月日・金額・支払先などが明記 | 7年(場合により5年) | 可(スキャナ保存または電子取引) |
請求書 | 発行元・発行日・金額などが明記 | 7年 | 可(紙か電子) |
♦️電子保存の基本と、電帳法の”ざっくり理解”
電子帳簿保存法の対象と運用ルールの概要
電子帳簿保存法(通称:電帳法)では、紙で保存していた帳簿書類を電子データで保存できるように定められています。対象となる保存方法には主に以下の2つがあります。
保存方法 | 対象となる書類 | 主なルール |
---|---|---|
スキャナ保存 | 紙で受け取った領収書・請求書など | タイムスタンプ付与/原本廃棄可解像度要件など |
電子取引データ保存 | メール・Webから受領した請求書やレシート等 | 紙での保存NG/タイムスタンプor真実性の担保が必要/検索の確保 |
⚠️注意
「メールで届いたPDF請求書」「ECサイトの購入履歴」は電子取引データ保存の対象です。紙に出して保管するのはルール違反になります。
「義務」として対応すべき書類はどれ? | ||
---|---|---|
書類の入手経路 | 対応方法 | 備考 |
郵送で届いた紙の請求書 | 紙で保管orスキャナ保存 | スキャナ保存する場合は条件あり |
メール添付の請求書 | 電子取引の保存要件を満たす必要あり | 紙保存はNG |
ECサイトの購入履歴(Webレシート) | 電子取引として保存 | 保存形式・要件の確認を! |
♦️書類収集・保存の工夫(紙・電子どちらでも使える)
回収ルールの明確化と周知徹底
・書類提出の締切日を明確に設定(例:月末締め、翌5営業日以内)
・提出方法(紙/PDF/写真データ)を統一
・遅延・紛失の対応ルールも明示
例:「再発行を申請する/経費精算が翌月にずれ込む」など
スキャナ保存・スマホアプリの活用
スマホやスキャナでの電子化を進めると、保管がラクになり検索性もアップします。
おすすめツール例 | |
---|---|
製品名 | 特徴 |
ScanSnap https://www.pfu.ricoh.com/scansnap/ | 高速スキャン&クラウド連携が可能 |
Adobe Scan: OCR 付 スキャナーアプリhttps://www.adobe.com/jp/acrobat/mobile/scanner-app.html | 領収書の撮影→文字読み取りでデータ化 |
Googleドライブhttps://accounts.google.com/Login?hl=ja&service=writely&lp=1 Dropbox https://www.dropbox.com/ja/ | 共有・管理がしやすいストレージ |
フォルダ構成・命名ルールの統一
ファイル名やフォルダの構成を統一しておくと、後から探しやすくなります。
💡電子ファイルの整理ルール
「年度>月>書類種別>日付>_取引先名」
例:2025/07/領収書/0725_○○商事.pdf
♦️まとめ|”書類の山”から解放される運用設計を
書類の保管ルールは、整備して終わりではありません。
「現場で続けられるか?」という視点が何よりも大切です。
紙であれ電子であれ、会社に合った仕組みとツールを導入することで、経理の負担を軽減し、正確な経費処理につながります。
また、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応も、経費精算ツールの導入によって、今回紹介した個別に保存ツールを入れることなく、スムーズに進めることができます。
※本記事ではツール紹介までは触れていませんが、次回にご紹介予定です。
📚第四回では、経理精算ツールと「経費申請の流れ」をどう整えるかに焦点を当てます。
申請〜承認〜支払までのプロセスをスムーズにする運用のコツを紹介します。