「だれにどうやって申請すればいいの?」
そんな社員の戸惑いの声を放置していませんか?
経費処理のミスや遅れは、申請フローが曖昧であることが原因のひとつです。申請書・承認者・経理それぞれの役割が不明瞭のままだと、経費の精算がスムーズに進まず、組織全体の生産性も低下します。
本記事では、経費申請で止まりがちなポイントを整理し、フローの最適化やツール活用によって業務を効率化する方法を解説します。
♦️経費申請が止まりやすい”3つのポイント”
経費申請がスムーズに進まない原因は、次の3点に集約されます。
申請内容の不備(書類・目的・金額の記載ミス)
・領収書の添付忘れ
→「証憑不備」で差し戻される
・用途が不明確
→摘要欄が空欄、もしくは曖昧な記載
・金額のミス
→手書きミス、レート換算ミスなど
申請内容が不十分だと、差し戻しや確認の手間が増え、全体の処理が遅れます。
承認者不在・フローが不明瞭
・誰に承認を仰ぐべきかが不明確
・出張費・交際費など費目によって承認ルートが異なり混乱
・承認者が出張中・休暇中で止まる
経理チェックで止まる(科目や支払手段のルール違反)
要因 | 例 |
---|---|
勘定科目の誤記入 | 交際費を会議費に誤分類 |
利用禁止のカード使用 | 個人カード利用で確認作業が発生 |
支払方法のルール違反 | 現金NGなのに現金精算している |
♦️スムーズに流れるフローの設計(申請・承認・精算の役割)
申請が滞らないためには、申請~承認~精算の各ステップを明文化し、関係者の役割を明確にする必要があります。
【例】
申請ステップの設計(必要情報と提出タイミング) | ||
---|---|---|
経費の種類 | 必須項目 | 申請タイミング |
旅費交通費 | 日付・区間・目的・金額 | 月末または帰社後速やかに |
接待交際費 | 参加者・目的・店舗名・領収書 | 支払翌日までに |
申請タイミングと項目を明示することで、記入漏れを防ぎます。
📌承認ステップの明確化と権限設計
ステップ | 承認者 | 役割 |
---|---|---|
1次承認 | 上長 | 支出の妥当性を判断 |
2次承認 | 部門長または本部長 | 部門予算との整合性を確認 |
最終承認 | 経理部門 | 科目、支払方法の適正化 |
誰がどこで承認するかを明示することで、承認漏れや混乱を防ぎます。
📌精算~会計処理までの流れ
・経理が最終承認後、会計ソフトへ連携
・自動仕訳設定で入力ミスを削減
・振込処理や立替払い精算のタイミングもルール化
♦️申請ルールを落とし込むコツ
ルールを作るだけでは不十分。実際の運用に組み込むには「ツールへの反映」が重要です。
経費精算ツールの活用例 | ||
---|---|---|
ツール名 | 特徴 | 向いている会社規模 |
マネーフォワードクラウド経費 https://biz.moneyforward.com/expense/ | ・モバイル対応・ICカード連携・自動仕訳 | 中小~中堅 |
楽楽精算 https://www.rakurakuseisan.jp/0002/index.php | 承認フロー設計の自由度が高い | 中堅~大企業 |
Staple https://staple.jp/ja | ・シンプル操作・チャットで申請可 | ・小規模事業者・スタートアップ |
スマホで申請→自動で承認フローに流れるように設計すれば、現場も経理も負担が減ります。
📌無料で作成する方法
☆Googleフォーム+スプレッドシートで構築する場合
無料ツールでも十分な申請フローを構築可能です。
・Googleフォームで申請フォーム作成
・スプレッドシートに自動反映(提出時刻・内容の記録)
・Apps Scriptで承認フロー自動通知も可
※ただし、電子帳簿保存法やインボイス制度に対応するには、SCANソフトや保存環境の整備が必要です。
無料でもできますが、業務負担や人的ミスを減らすためには、できるだけ経費精算ツールを使うことが、長期的に見たときおすすめです。
📌ワークフロー連携による”経理の見える化”
タスク管理ツールなどを活用すれば、誰の段階で止まっているかを一目で把握可能です。
♦️まとめ|誰も迷わないフローが、経理の負担を減らす
経費処理の”詰まり”は、明確な申請フローとツール導入で解消できます。
・フローが明確なら、誰も迷わず申請・承認できる
・ツールを活用すれば、工数削減&履歴管理も万全
・経理も「差戻し業務」から解放され、コアに業務に集中できる
📚第五回では、「ルールを定着させる仕組み」について解説。経費精算ルールを”作って終わり”にしない運用のポイントをご紹介します。