経費ルールがないと何が起きる?曖昧な運用が会社を疲弊させる

経費ルールがないと何が起きる?曖昧な運用が会社を疲弊させる 経営

経費の処理、「なんとなく前からこうしているから」と曖昧なルールのまま運用していませんか?

実はその”なんとなく”が経理部門に大きな負担をかけ、社内トラブルや税務リスクを引き起こす原因となることも少なくありません。

本記事では、経費ルールを整備しないと起きがちな問題について具体的に解説しながら、なぜ今ルール整備が重要なのかをご紹介します。

♦️ルールが曖昧なままだと起こる3つの問題

経費ルールが整っていないと、経費部門だけではなく全社的に非効率やトラブルが広がります。以下の表に、よくある問題とその影響をまとめました。

経費ルールが曖昧な場合に起きる問題
問題発生する事象経営・経理への影響
社員ごとの「自分ルール」書式・申請方法がバラバラ経理の処理が非効率、精度が下がる
二度手間・三度手間不明瞭な申請・都度確認作業時間が増え、残業、ミスの増加
不正・誤処理意図しない私的利用、誤分類税務リスク、内部統制の欠如

①社員ごとに解釈が異なる「自分ルール」が横行

経費の申請方法が統一されていないと、社員ごとに異なる法補で書類が提出されます。

Excel・PDF・メール本文などの形式がバラバラだと、確認作業が頻雑になり、処理ミスや記録漏れの原因にもなります。

②経理の二度手間・三度手間が発生する

「この申請、何の経費?」「レシートにメモがない」「勘定科目が違う」__

こうした”ちょっとした確認”が積み重なって、経理担当者の負担は増加します。

申請内容が不明確だと、都度の確認や修正が必要になり、経理の生産性が大幅に低下します。

③不正・横領リスクや税務否認の可能性も

ルールがなければ、「何がOKで何がNGか」が社内で共有されません。

その結果、私的利用に近い経費が混じってしまったり、適切な証憑が残っていなかったりと、税務署からの指摘対象になるケースも。

社員に悪意がなくても、ミスや誤解が積み重なることで大きなリスクになります。

♦️「前任者ルール」の落とし穴と属人化のリスク

【事例①】「前からそうしていた」経験ベースの処理

 →「前の担当者がこうしてたから」「とりあえずこれで大丈夫」__そんな曖昧なルールのままでは、新任担当者は毎回手探りで作業することになります。

ミスや確認作業が増え、経理部門全体の属人化が進んでしまうのです。

【事例②】特定の人しかできない処理

 →経理処理の手順が特定の担当者の頭の中にしかない、というケースも多く見られます。この場合、その人が不在になると業務が止まってしまい、経費処理がストップ=会社の数字が見えなくなるというリスクが生じます。

♦️今こそルール整備が必要な理由

インボイス制度や電子帳簿保存法など、法制度の整備にともない、”なんとなく”処理していた経費も、明確な対応が求められる時代になっています。

経費ルール整備が必要な背景とメリット
背景課題メリット
インボイス制度電子帳簿保存法領収書・帳票管理の要件強化法令対応をスムーズに進められる
経理人材の不足担当交代時の混乱、処理の質の低下仕組み化で業務が属人化しない
経費処理のバラつき経費制度・スピードの低下全社統一で運用が可能になる

✔️法改正で”曖昧さ”が許されない時代に

インボイス制度により、取引の記録と証憑の保存がより厳格にもとめられています。電子帳簿保存法の電子化要件に対応するためにも、領収書や請求書の扱い方を明文化することが重要です。

✔️人材不足時代にこそ”ルールで仕事が回る仕組み”が必要

経理担当の採用が難しい中、経験やスキルに依存せず、誰でも一定水準で業務を進められる環境が求められています。

経験勝利を「仕組みで回す」ことで、”業務の安定”と”継続性”が確保されます。

♦️まとめ|経費ルール整備は、”業務改善”の第一歩

経費ルールは「経理部門のため」だけではありません。

社内全体が迷わず正しく申請・処理できる仕組みを作ることで、業務の無駄を減らし、不正やミスを防ぐことができます。

「曖昧なままなんとなくやってきた」経費処理を、今こそ見直すタイミングです。

📚第二回では、備品と消耗品。交際費と福利厚生費など、「これってどっち?」と迷いやすい経費区分の判断基準をお伝えします。

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