「うちは黒字経営なのに、なぜ資金が足りない?」
これは、多くの中小企業経営者が抱えるリアルな悩みです。帳簿上は黒字でも、支払ができなければ倒産にいたることも__。これがいわゆる「黒字倒産」です。
その背景にあるのが「資金繰り」つまり「現金の出入りの管理」です。
本記事では、資金繰りの基礎と、損益との違い、資金繰り表の活用方法をわかりやすく解説します。
♦️資金繰り管理の基本を理解する
資金繰りとは「お金の出入り」の管理
資金繰りとは、企業が日々の経営活動を行ううえで必要な現金を、どのように確保し、どのタイミングで使うかを計画・管理することです。
利益とキャッシュは別物
「利益が出ている=お金が増えている」ではありません。
売上が立っても入金が遅れたり、先に仕入代金を支払ったりすると、実際の現金は手元に残らない場合もあります。
♦️損益計算書と資金繰り表の違い
比較項目 | 損益計算書 | 資金繰り表 |
---|---|---|
主な目的 | 利益の確認 | 現金の流れの把握 |
ベースの考え方 | 発生主義 (売上や費用の発生で計上) | 現金主義 (入出金の実際で計上) |
見えるもの | 売上・費用・利益の推移 | 現金残高・入金・出金のタイミング |
重要なタイミング | 決算期ごとの集計 | 月次・週次・日次など柔軟に管理可能 |
♦️資金繰り表で「お金の流れ」を見える化
資金繰り表とは
資金繰り表は、月単位や週単位で、入金・出金の予定と実績を一覧にした表です。
現金の流れが見えることで、資金のショートの兆候を事前にキャッチできます。
資金繰り表(シンプルな月次フォーマット例)
区分 | 7月実績 | 8月見込み | 9月見込み |
---|---|---|---|
機首残高 | 1,000,000 | 800,000 | 550,000 |
【入金】 | |||
売上入金 | 500,000 | 600,000 | 650,000 |
借入金 | 0 | 0 | 0 |
その他入金 | 50,000 | 0 | 0 |
入金合計 | 550,000 | 600,000 | 650,000 |
【出金】 | |||
仕入支払 | 400,000 | 500,000 | 500,000 |
給与・賞与 | 200,000 | 200,000 | 200,000 |
家賃・水道光熱 | 100,000 | 100,000 | 100,000 |
その他経費 | 50,000 | 50,000 | 50,000 |
出金合計 | 750.000 | 850,000 | 850,000 |
収支差額 | ▲200,000 | ▲250,000 | ▲200,000 |
期末残高 | 800,000 | 550,000 | 350,000 |
このように、事前に資金がマイナスに向かっていると分かれば、借入検討や支払タイミングの調整など、打ち手を考えることができます。
✅まずは簡単な資金繰り表から始めよう!
・最初はExcelでもOK
・「今月・来月のお金の流れ」を書き出すだけで見える世界が変わる
・定期的に更新する習慣が大切
♦️まとめ|黒字倒産を防ぐ第一歩は資金繰りの見直し
「儲かっているのに倒産した」___それを防ぐためには、損益ではなく”現金”に着目する必要があります。
資金繰り管理は、企業の生命線です。
資金繰り表を作ることで、「なんとなく不安」から「見える安心」へと変わります。
📚第二回では、資金繰り表の作り方について、フォーマットや作成のステップを具体的に解説します。