経理のデジタル化、いわゆる「経理DX」を進めるうえで欠かせないのがクラウド会計ソフトです。
最近では中小企業でも導入が進み、業務の効率化やペーパーレス化に貢献していますが、「製品が多すぎて選べない」という声も多く聞かれます。
本記事では、経理DXに役立つ主要なクラウド会計ソフト3製品を比較し、自社に合った選び方のポイントを解説します。
♦️クラウド会計ソフトとは?|従来の会計ソフトとの違い
クラウド会計ソフトの特徴
クラウド会計ソフトは、インターネット経由で提供される会計システムです。
以下のような特徴があります。
・インストール不要で、どこでも使える
PCだけではなくスマホやタブレットからもアクセスでき、テレワークにも最適です。
・データは自動保存・共有
入力内容はリアルタイムで保存され、複数人での同作業や税理士との共有もスムーズです。
・常に最新機能が使える
ソフトのバージョンアップは自動で行われ、法令改正のコスト(時間や精神的負担)が軽減します。
オンプレミス型会計ソフトとの違い
従来のオンプレミス型(インストール型)と比べ、クラウド会計ソフトには以下のような利点があります。
・バージョン管理・バックアップの手間が不要
サーバー管理やデータ保全の負担を減らすことができ、常に最新機能が使えます。
・外部サービスとの自動連携
銀行口座、クレジットカード、POSレジなどと連携し、仕訳や入出金、請求書の作成・送付など幅広い業務が自動化されます。
♦️主要クラウド会計ソフト3選を比較
以下は、代表的なクラウド会計ソフト3つを比較した一覧表です。
料金や特徴、対応規模に加え、それぞれの強みにも注目してください。
各社おすすめプランでどこまでできる? ※従業員5人(会計・請求業務に携わる人数は1人) | ||
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製品名 | 基本料金 | 主な機能 |
マネーフォワードクラウド会計 https://biz.moneyforward.com/price/ | 6,480円~ (ビジネスプラン) | 会計、請求書作成、経費精算、勤怠、給与計算他12サービスが使える |
弥生会計 オンライン https://www.yayoi-kk.co.jp/kaikei/kaikei-next/price/ | 6,200円~ (ベーシックプラン) | 帳簿・決算書作成見積書・納品書・請求書・領収書作成証憑の保存・管理部門管理、経費精算 |
freee会計 https://www.freee.co.jp/accounting/small-medium/ | 8,980円~ (スタンダードプラン) | 基本的な記帳、請求書作成・管理、帳簿作成、決算書作成…等々 |
ユーザー数別料金の目安 ※会計・請求業務に携わる人数は1人 | |||
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利用人数 | マネーフォワードクラウド会計 | 弥生会計オンライン | freee会計 |
1人 | 約2,480円 (ひとり法人プラン) | 約2,900円 (エントリープラン) | 約2,980円 (ひとり法人) |
3人 | 約4,480円 (スモールビジネスプラン) | 約4,200円 (ベーシックプラン) | 約5,480円 (スタータープラン) |
5人 | 約6,480円 (ビジネスプラン) | 約6,200円 (ベーシックプラン) | 約8,980円 (スタンダードプラン) |
♦️導入事例を紹介
👤事例①|社長一人で経理もやっている法人
・従業員なしorパート1人程度
・経理はなるべく手間をかけたくない
・領収書や通帳から簡単に記帳したい
⚫おすすめ:マネーフォワードクラウド会計(ひとり法人プラン:約2,480円)
・安価で12サービスが使える
・複雑で大変なバックオフィスが一つで完結
・使いやすく、サポート体制が充実
👉「とりあえず1人で完結させたい!」ならマネーフォワードクラウド会計一択!!
👥事例②|社員数5人・業務が増えてきた小規模法人
・社長+経理担当(1人)+営業+現場チーム
・経費や請求のやり取りが大変
・部門ごとの損益も見たい
⚫おすすめ:マネーフォワードクラウド会計(ビジネスプラン:約6480円)
・会計・請求・経費・給与などのクラウドサービスが連携可能
・承認フローや部門別損益管理が可能
・会計データをもとにダッシュボードで「見える化」もできる
👉「経理DXの第一歩を本気で進めたい!」におすすめ!!
👥事例③|スマホですべて効率化したい中小企業
・現場での操作性・スピードが最重視
・ひとつのアプリで完結したい
⚫おすすめ:freee会計(スタンダードプラン:約22,000円)
・アプリ1つで会計から勤怠・給与まで一括管理できる
・年末調整・マイナンバー管理もスマホで完結できる
・モバイル向けに作られているので非常に使いやすい
👉「誰にでも簡単に使いたい!」におすすめ!!
🗣️事例④|経理は外注+社内で最低限チェックしたい中小企業
・日々の入力は税理士事務所に依頼
・社内では残高や帳簿の閲覧のみ、操作は最低限
・サポート体制や税理士との連携が重要
⚫おすすめ:弥生会計オンライン(ベーシックプラン約4200円)
・必要最低限の入力・確認操作ができるシンプル設計
・税理士との共有もしやすい
・チャットでのサポートが可能
👉「外注と連携しながら社内も関与したい!」におすすめ!!
♦️自社に合った会計ソフトを選ぶためのチェックポイント
会計ソフト選びで大切なのは、”「どれが人気か」ではなく「自社に合っているか」”です。
以下の観点から選定すると失敗しにくくなります。
業種や業務の内容にマッチしているか
・製造業や建設業など、複雑な仕訳が多い業種は、業種特化型の機能や仕訳設定が充実している製品を選びましょう。
どこまでの機能を一体化したいか?
・経理業務に加えて、給与計算・経費精算・請求管理も一元化したい場合は、連携機能が豊富なソフトを選ぶと効率化が進みます。
一方で、会計機能だけで十分という場合は、コスト重視のシンプルな製品でOKです。
社内のITリテラシーとのバランス
・初めてクラウド会計ソフトを使う場合、操作性の高さや見た目のわかりやすさが重要です。
・サポート体制(電話・チャット・マニュアルの充実度)も導入後の安定運用に関わります。
💡おすすめポイント
🔍機能性で選ぶなら?
・銀行連携・経費精算・請求書なども自動化したい
→マネーフォワードクラウド会計またはfreee
・請求書・経費精算・給与なども一元管理したい
→マネーフォワードクラウド会計がバランスよく対応
・外出先で経理したい
→freeeが最もスマホ対応が進んでいる
・初心者で不安、導入コスト抑えたい、電話で相談したい
→弥生会計オンライン(初年度無料・電話&画面共有対応)が安心
🔍人数と予算から選ぶなら?
・一人経理・社長が直接操作
→マネーフォワードクラウド会計または弥生会計オンライン(操作が簡単、安価でシンプル)
・少人数の経理チーム(~5名)
→マネーフォワードクラウド会計またはfreee(権限管理・承認フローが使える)
・多部署・多人数で本格運用
→マネーフォワードクラウド会計のビジネスプラン以上(利用者数の増加や処理数の増大の対応、DX推奨向け)
♦️まとめ|クラウド会計はDXの第一歩、自社に合う選定が成功のカギ
クラウド会計ソフトは、単なる「会計処理ツール」ではなく、業務の見える化と効率化を進めるDXの第一歩です。
製品の知名度に惑わされることなく、「自社の課題を解決できるかどうか」を基準に選びましょう。
📚第三回では、クラウド会計と並んで経理DXに役立つ「経費精算ツール」をテーマに、さらなる業務効率化のヒントを紹介します。